●平成22(行ケ)10257 審決取消請求事件 商標権「EXTRIMA」

 本日は、『平成22(行ケ)10257 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「EXTRIMA」平成22年12月22日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101222165628.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、本願商標と引用商標との類否についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 滝澤孝臣、裁判官 本多知成、裁判官 荒井章光)は、


『1 本願商標と引用商標との類否について

(1) 外観

 本願商標は,欧文字7文字,引用商標は,欧文字10文字からそれぞれ一体的に構成されており,各構成文字は,格別特異な表現態様からなるものではなく,その書体も,普通に用いられるものである。


 両商標は,語頭の文字及び第2文字の構成が,引用商標の第2文字は小文字であるものの,「EX」(本願商標。以下,同商標(称呼を含む)の一部又は全部を特に記載する場合,「」を用いて表すことがある。)と(Ex)(引用商標。以下,同商標(称呼を含む)の一部又は全部を特に記載する場合,()を用いて表すことがある。)という,共通する綴りからなり,それに次ぐ文字部分も,大文字と小文字の相違はあるものの,「T」(t),「R」(r),M(m)の各文字を共通にするなど,5文字が共通しているものである。


 もっとも,引用商標は,(Ex)の後に(s)が続いていること,本願商標の末尾4文字は「RIMA」であるところ,対応する引用商標の末尾6文字は(reamer)であることからすると,本願商標と引用商標とは,文字構成上,似通った印象を与えるものの,なお外観において類似するとまではいうことはできない。


(2) 称呼

 本願商標からは,その構成全体に対応した「エクストリマ」の,引用商標からは,(エクストリーマー)の称呼がそれぞれ生ずるものである。


 両称呼は,語頭から続く「エ」「ク」「ス」「ト」「リ」「マ」の各音が共通するものであり,第5音の,「リ」と(リー),第6音の,「マ」と(マー)について,いずれも長音(ー)の有無という差異を有するにすぎないものである。


 引用商標の(リー)及び(マー)の長音は,実際に発音する際,その前音である「リ」又は「マ」の母音に吸収されやすく,しかも,各音は,引用商標の構成における中間から語尾に位置することから,長音を有するか否かの相違は,明瞭に聴取することが困難ということができる。


 したがって,本願商標及び引用商標は,それぞれ一連に称呼するときは,その語調,語感が近似するものであって,称呼上類似の商標というべきである。


(3) 観念

 本願商標及び引用商標は,いずれも特定の観念は生じない。


 したがって,両商標は,それぞれから生ずる観念の相違により,明確に区別し得るというものではないから,称呼が類似し,外観も似通った印象を与える両商標について,観念における相違を理由に,非類似であるということはできない。


(4) 取引の実情

 本願商標が,実際の商取引の実情において,需要者間において広く知られ,引用商標と区別されて認識されているような事情について,具体的な主張立証はない。


(5) 指定商品の異同

 本願商標の指定商品「Hydrogen leak detectors.」(水素漏れ検出器)は,その用途・目的等から,「測定用機械器具」の一種であるということができる。


引用商標の指定商品中,「electronic and optical measuring and monitoringapparatus and instruments」(電子式及び光学式の測定用及び監視用機器)には,「測定用機械器具」が含まれるものということができる。


 したがって,引用商標の指定商品又は指定役務は,本願商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。


2 小括

 以上からすると,本願商標は,引用商標と,称呼上類似の商標であり,外観においても,類似とまではいえないものの,似通った印象を与えるものであるから,引用商標に類似するものと認めるのが相当であり,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした本件審決の判断は,これを是認し得ることが明らかである。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。