●平成21(行ケ)10344 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成21(行ケ)10344 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「顔写真付きカレンダー」平成22年09月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100930144905.pdf)について取り上げます。

 本件は、拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、進歩性の判断における当業者についての判断等が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 清水節、裁判官 古谷健二郎)は、


『(4) 原告は,当業者は単数であると考えるべきであるところ,顔写真付きプリント・シール機はハードウェア及びソフトウェアの集合体であり,ハードウェア業者及びソフトウェア業者が共同で製作するものであるから,単数であるべき当業者にとって容易想到とはいえないなどと主張する。


 しかし,当業者とは,「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者」であって(特許法29条2項),当業者に単複の区別はないから,原告の上記主張は採用することができない。


(5) 原告は,特開平7−298191号公報よりも遅れて出願された引用例にカレンダーの記載がないことや,引用例,特開平7−298191号公報及び特開平8−251533号公報に顔写真付きカレンダーシール機に関する記載がないこと等から,本願発明は容易想到とはいえない旨主張する。


 しかし,引用発明に周知技術を適用して本願発明に至ることが容易であれば,進歩性は否定されるのであって,引用例自体に周知技術に関する記載(カレンダーに関する記載)がされている必要はなく,また,引用例や周知技術の記載された文献に本願発明の構成がすべて記載されている必要もない。


 したがって,原告の上記主張も採用することができない。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。