●平成21(行ケ)10274 商標登録取消決定取消請求事件 商標権(1)

 本日は、『平成21(行ケ)10274 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年01月13日 知的財産高等裁判所』((http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100113164256.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録取消決定取消請求事件で、請求が認容され、異議申し立てにおいて商標登録を取り消した部分が取り消された事案です。


 本件では、まず、取消事由1(本件商標と比較する対象商標の認定の誤り)についての判断が参考になるかと思います。

 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 滝澤孝臣、裁判官 本多知成、裁判官 浅井憲)は、

『1 取消事由1(本件商標と比較する対象商標の認定の誤り)について

 登録異議の申立てにおいては,その申立てをすることができる者を具体的な利害関係を有する者に限ることなく何人もすることができる(法43条の2柱書前段)とし,また,異議申立ての理由を公衆の利益に関するものに限る(法43条の2第1号)などしていることからも分かるように,登録異議の申立制度は,商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するために,登録異議の申立てがあった場合に,特許庁が自ら登録処分の適否を審理し,瑕疵ある場合にはその是正を図るというものである。


 そして,登録異議の申立ての審理においては,登録異議の申立てがされてない指定商品又は指定役務については審理することができない(法43条の9第2項)が,登録異議申立人等が申し立てない理由についても審理をすることができる(同第1項)ことになっているのである。


 したがって,登録異議申立人が申し立てた本件商標登録の登録異議の申立てにおける本件決定が,本件商標の指定商品又は指定役務について取消理由の有無を審理するに当たって,登録異議申立人がその申立てにおいて引用した申立人商標1〜3ではなく,同決定が使用商標として認定した引用商標をもって対比判断を行ったとしても,そのこと自体に格別問題とすべきところはなく,原告の主張は採用することができない。


 と判示されました。


 明日に続きます。