●平成20(行ケ)10419 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成20(行ケ)10419 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「タンクおよびそのライナ」平成21年09月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090925130844.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、原告の主張に対する補足的判断が参考になるかと思います。


  つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 今井弘晃、裁判官 真辺朋子)は、


『(2) 原告の主張に対する補足的判断

 原告は,本願補正発明では,「平行に直線状に形成された糸の列」を後から硬化性樹脂で埋め込むようにしたことが請求項の記載で特定されているから,本願補正発明は,糸の列を平行に直線状に形成した後,硬化樹脂を含浸して隔壁を形成するものであり,このため柔らかい状態の糸で小さな隔壁を容易に形成でき,また隔壁を薄くできるので軽量化できるとともに剪断強度を低くすることができるという効果を有するが,引用発明には,そのような効果がない旨主張する。


 しかし,本願補正発明は,「ライナ」に関する発明であるところ,原告の主張する製造手順は本願補正発明の特許請求の範囲の記載に特定されているとはいえず,糸の列が硬化性樹脂により埋め込まれていて隔壁を形成している構成に該当するものであれば,その製造手順は問題とならないものというべきである。


 と判示されました。


 この判断は、特許請求の範囲に記載された発明が物の発明である以上、物として同一であれば、請求の範囲に製造手順が記載されていても、原則として、当該製造手順は考慮せずに判断すべきとした、プロダクト・バイ・プロセス発明の要旨認定をしているようです。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。