●平成21(行ケ)10031審決取消請求事件 商標権「LASER EYE」

 本日は、『平成21(行ケ)10031 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「LASER EYE」平成21年06月25日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090625155940.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標法第4条第1項第11号を理由とする拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却され、拒絶審決が維持された事案です。


 本件では、商標法第4条第1項第11号における、指定商品の類否判断についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 滝澤孝臣、裁判官 高部眞規子、裁判官 杜下弘記)は、

『(3) 指定商品の類否判断

ア 指定商品が類似のものであるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には,たとい,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,それらの商標は商標法4条1項11号にいう「類似の商品」に当たると解するのが相当である最高裁昭和33年(オ)第1104号昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁参照)。


イ これを本件についてみると,本願商標の指定商品「レーザー光照射型混入異物検査装置」の属する「異物検査機(異物検出機)」と「牛乳殺菌機」の属する「殺菌機」とは,(i)製造業者の一部が食品の製造・加工用の機械メーカーであることにおいて共通していること,(ii)両商品を販売する会社もあること,(iii)いずれも食品の製造・加工メーカーにおいて使用されていること,以上の諸点に照らせば,両商品の対象とする食品の種類や具体的な目的及び機能ないし用途に,前記(1)ウのような違いがあるとしても,「レーザー光照射型混入異物検査装置」の属する「異物検査機(異物検出機)」と「牛乳殺菌機」の属する「殺菌機」とに同一又は類似の商標が使用されるときは,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認・混同するおそれがあると認められる関係にあり,商標法4条1項11号にいう「類似の商品」に当たると解するのが相当である。


ウ 原告は,「レーザー光照射型混入異物検査装置」は,高価であり,装置の販売担当者と需要者企業の購買担当者が仕様,納期等の打合せをした上で注文生産し,販売契約が成立するもので,店頭等で標準品として陳列販売されるような販売形態はないから,このような取引の実情においては,需要者に商品の出所の混同を生じさせるおそれはないと主張する。


 しかしながら,仮に,現在,原告において主張のような取引形態を採用しているとしても,それが,指定商品全般についての一般的,恒常的な取引の実情であると認めるに足りる証拠はない。


(4) 商標法4条1項11号該当性

 本願商標は,「Laser Eye」の欧文字を標準文字で表し,引用商標は,「レーザーアイ」の片仮名文字と「LASER EYE」の欧文字とを上下二段に横書きしたもので,称呼を共通にし,外観においても近似した印象を与え,両商標の類似性は高い。


 そして,本願商標をその指定商品に使用した場合には,引用商標との間で出所に誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかである。本願商標は,商標法4条1項11号に該当するといわざるを得ない。


 これと同旨の本件審決の判断に誤りはないというべきである。


(5) 小括

 したがって,取消事由2は理由がない。


3 結論

 以上の次第であるから,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,原告の請求は棄却されるべきものである。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


 なお、本判決文中で引用している最高裁判決は、昨日も取り上げた、

●『昭和33(オ)1104 審決取消請求 商標権 行政訴訟「橘正宗事件」昭和36年06月27日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/8E96FF3A7114B94449256A850031624D.pdf)

 です。