●平成20(ワ)3036 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 東京地裁

 本日は、『平成20(ワ)3036 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成21年04月30日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090507160046.pdf)について取り上げます。


 本件は、著作権に基づく損害賠償等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、準拠法についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第46部 裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 関根澄子、裁判官 古庄研)は,


1 本件の準拠法について

 本件は,中国法人である原告が,日本法人である被告らに対し,中国のテレビドラマである本件ドラマの著作権侵害に基づく損害賠償及び差止めを求める点において,渉外的要素を含むものであるから,準拠法を決定する必要がある。


 本件ドラマは,中国法人である北京華録ほか1社が撮影制作した映画の著作物であり(前記第2の2(2)ア),その著作者が中国法人であることに争いがないものと認められ,また,中国はベルヌ条約の「同盟国」であるから,ベルヌ条約3条(1)(a)及び著作権法6条3号により,本件ドラマは,我が国の著作権法の保護を受ける。


 原告の著作権侵害に基づく差止請求は,ベルヌ条約5条(2)により,「保護が要求される同盟国の法令」の定めるところによることとなり,我が国の著作権法が適用される。


 また,原告の著作権侵害に基づく損害賠償請求については,その法律関係の性質が不法行為であると解されるから,平成18年法律第78号附則3条4項により,なお従前の例によることとされた同法による改正前の法例11条によってその準拠法が定められることになる。そして,本件において,「原因タル事実ノ発生シタル地ノ法律」(同条1項)は,本件ドラマの放送が行われたのが日本国内であること,我が国の著作権法の保護を受ける著作物の侵害に係る損害が問題とされていることから,日本の法律と解すべきであり,日本法が適用される。


 さらに,本件においては,本件ドラマの著作権の譲渡の有無について争いがあるところ,著作権の譲渡について適用されるべき準拠法を決定するに当たっては,譲渡の原因関係である法律行為と,目的である著作権の物権類似の支配関係の変動とを区別し,それぞれの法律関係について別個に準拠法を決定すべきものと解する。


 すなわち,本件著作権の譲渡の原因行為である法律行為の成立及び効力については,平成18年法律第78号附則3条3項により,なお従前の例によることとされた同法による改正前の法例7条(以下,単に「法例7条」という。)によって適用されるべき準拠法を決定し,本件著作権の譲渡(移転)の第三者に対する効力に係る物権類似の支配関係の変動について適用されるべき準拠法は,保護国の法令である我が国の著作権法が準拠法となるものと解する(東京高等裁判所平成13年5月30日判決(平成11年(ネ)第6345号)参照)。』


 と判示されました。


 詳細は,本判決文を参照して下さい。