●平成19(ワ)28849 業務委託料等請求事件 特許権 民事訴訟

 本日は、『平成19(ワ)28849 業務委託料等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年04月16日 東京地方裁判所』 (http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090422154400.pdf)について取り上げます。


 本件は、原告が,被告に対し,原告と被告との間の特許実施許諾及び技術援助契約に基づきロイヤルティや業務委託料等の支払いを求め、その請求が認容された事案です。


 本件では、争点1−2の(本件業務委託契約は無効とされるべきものか)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第47部 裁判長裁判官 阿部正幸、裁判官 柵木澄子、裁判官 平田直人)は、


『(2)争点1−2(本件業務委託契約は無効とされるべきものか)について


ア 被告は,本件許諾契約及び本件業務委託契約は,別紙特許出願目録記載2ないし4の特許出願に係る発明をその目的として含むことから,その目的の少なくとも一つに拒絶事由又は無効事由が内包されており,本件許諾契約及び本件業務委託契約は,錯誤又は原始的不能により無効である旨主張する。


イ 本件許諾契約においては,契約期間中に許諾の対象となる発明に係る特許出願のすべてが最終拒絶され,あるいは,特許が無効や取消等により失効する場合は契約も終了するものとする旨(甲1の第8条8−2)や,原告は被告に対し許諾の対象となる発明に係る特許出願について特許が成立すること及びその有効性について一切保証せず,これについて義務や責任を一切負わないものとする旨(甲1の第11条11−1)が定められていることに照らすと,仮に,別紙特許出願目録記載の各特許出願について拒絶事由が存在し,あるいは,特許として成立した場合でも無効事由が存在するとしても,本件許諾契約及びそれに付帯する本件業務委託契約において,これらの事実が要素の錯誤に当たるとも,契約を原始的に不能ならしめる事由であるともいえない。


 また,上記の点をひとまず置くとしても,そもそも,別紙特許出願目録記載の各特許出願について,特許法の定める拒絶事由が存在し,又は特許として成立したとしても無効事由が存在するとの点については,これを認めるに足りる証拠はない。


 すなわち,被告は,原告が別件訴訟において,兼坂契約2の目的たる別紙特許出願目録記載2ないし4の発明に係る特許出願のうちの少なくとも一つには,拒絶事由又は無効事由があるから,そのような発明を目的とする兼坂契約2は,錯誤又は原始的不能により無効である旨の主張をしているから,本件においても,被告に同様の抗弁が発生する旨主張するものの,原告が別件訴訟において上記のような主張をしていることのみで,別紙特許出願目録記載の各特許出願について拒絶事由が存在し,又は特許として成立したとしても無効事由が存在するとの事実を認めるに足りず,他に上記事実を認めるに足りる証拠はない。


ウ 以上によれば,被告の上記主張は理由がない。』


 と判示されました。


 詳細は,本判決文を参照して下さい。


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●『<切り餅>「切り込みは特許」 越後製菓が「サトウ」提訴』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090422-00000057-mai-soci
● 『知財権局局長、中国のニセモノ商品に苦言』http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200904220206.html
● 『平成20年度特許出願技術動向調査の結果について−特許からみた日本の技術競争力 Part.2 ライフサイエンス分野など−』http://www.meti.go.jp/press/20090422003/20090422003.html