●平成19(行ケ)10241 審決取消請求事件「収納袋の排気弁」(2)

 本日も、『平成19(行ケ)10241審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「収納袋の排気弁」平成20年05月21日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080522153057.pdf)について取り上げます。


 本件では、最後の結論における付言も参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 田中信義、裁判官 石原直樹、裁判官 杜下弘記)は、


『3 結論

(1) 以上によれば,本件審決の本件発明1と甲1発明との相違点2の認定の一部は誤りであり,また,同相違点1についての判断及び上記相違点2のうちのその余の部分(相違点としての認定に誤りのない部分)についての判断も誤りであるから,本件審決が,本件発明1につき,相違点3についての判断を経ないまま,「本件発明1は,甲第1号証に記載された発明,甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない」とした部分には,結論に影響を及ぼすべき誤りがある。


(2) 本件審決が,本件発明3につき「本件発明3は,甲第1号証に記載された発明ではなく,特許法第29条第1項第3号に規定される発明とすることはできない」とした判断については,原告はこれを争わず,その判断に結論に影響を及ぼすべき誤りは認められない。


(3) ところで,一次審決は,原告の無効審判の請求に対し,「訂正を認める。特許第3681379号の請求項1,3に係る発明についての特許を無効とする。特許第3681379号の請求項2に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」との審決(甲第12号証の11)をしたものである(なお,請求項2に係る発明は,上記訂正の対象となっていない。)。


 そして,原告は,一次審決のうちの「特許第3681379号の請求項2に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」とした部分に対し,出訴期間内に審決取消しの訴えを提起しなかったのであるから,一次審決のうちの本件発明2についての無効審判請求を不成立とした部分が,独立して既に確定したことは,特許法123条1項柱書き後段に照らして明らかであり,もとより,一次審決に対し被告が提起した審決取消しの訴えや,一次審決に対する取消決定の対象となっているものではない。


 しかるに,本件審決の説示には,本件発明2について,無効事由の有無を審理した上,無効事由がないと判断した部分があるが,上記のとおり,一次審決のうち,本件発明2についての無効審判請求を不成立とした部分は,独立して既に確定しているのであるから,本件審決において,本件発明2についての無効判断をすることはもはやできないものというべきであり,そうすると,本件審決の説示中,本件発明2についての無効事由の有無を審理判断した部分は,全く意味のないものと考えざるを得ない。


 したがって,本判決は,本件審決の上記部分を対象とするものではないことを,念のため付言しておく。


(4) よって,主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。