●平成19(ネ)10038 特許権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事

 本日は、『平成19(ネ)10038 特許権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件 特許権 民事訴訟「自動定量計量装置」平成19年09月20日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070921152703.pdf)について取り上げます。


 本件は、先日紹介した「ジュリスト臨時増刊 平成19年度重要判例解説」に掲載されていた4番目の知財判決です。


 本件は,控訴人が被控訴人との間で,控訴人製品の英国内における販売につき,被控訴人が英国特許に係る特許権に基づく差止請求権を有しないことの確認を求めたところ、被控訴人が本件請求権を有しないことを自認しているため、その控訴が棄却された事案です。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 田中信義、裁判官 古閑裕二、裁判官 浅井憲)は、


『1 当審における本案前の主張について

 一般に,確認の訴えにおいて,確認の利益が肯定されるためには,当事者間の紛争の解決のために訴訟物たる権利関係の存否を判決において確認する必要があり,かつ,確認の訴えによることが当該紛争の解決にとって適切であることを要すると解すべきところ,当該権利関係の存否について被告が争っていないときは,特段の事情がない限り,当該権利関係の存否を判決において確認する必要性を欠くというべきであるから,そのような場合には,当該確認の訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法であると解するのが相当である。


 これを本件についてみるに,上記第2の2のとおり,被控訴人は,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを自認しているところ,上記第2において摘示した事実等をみても,控訴人と被控訴人との間の紛争の解決のために,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを判決において確認する必要があるといえる特段の事情があるとはいえず,その他,記録を精査しても,そのような特段の事情があるものと認めることはできない。


 そうすると,控訴人の本件訴えは,確認の利益を欠くものとして,不適法であるといわざるを得ない。


2 結論

 よって,当裁判所の上記判断と異なる原判決は,現時点においては不当であるから,これを取り消した上,控訴人の本件訴えを却下することとして,主文のとおり判決する。 』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。