●平成19(ワ)12631特許権侵害差止等請求事件「原稿圧着板開閉装置」

 本日は、『平成19(ワ)12631 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟「原稿圧着板開閉装置」平成20年03月28日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080411101014.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許権侵害差止等請求事件で、その請求が一部認容された事案です。


 本件では、実施料率に基づく損害額の計算が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第40部 裁判長裁判官 市川正巳、裁判官 大竹優子、裁判官 宮崎雅子)は、


9 争点(3)(損害の額)

(1) 相当な実施料率

 証拠(甲15)によれば,社団法人発明協会発行の「実施料率〔第4版〕」では,昭和49年から平成3年までに間に,事務用機械器具の属する「16. その他の機械」について締結されたライセンス契約における実施料率は,1%から23%に分散しているが,2%から7%の間に集中していることが認められる。


 この事実に,本件考案1の(2)の技術内容等の本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,相当な実施料率を3%と認めるのが相当である。


(2) 被告製品(2)の販売価格

 原告は,被告製品(2)の販売価格は被告製品(1)との組で1組当たり6.1米国ドルであると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。

 したがって,被告が自認する3.568米国ドルをその販売価格として採用する。

(3) 3項の損害額

 被告製品(2)の販売個数及び販売期間中の為替レートは,前提事実(3)ア(アb及びcのとおりである。

 そうすると,実施料相当の損害額は,63万4524円となる。

 3.568米国ドル×117円×5万0666個×3%=63万4524円

(4) 弁護士費用等相当の損害額

ア 証拠(甲7〜9)及び弁論の全趣旨によれば,原告の主張ウ(ア〜(ウの事実が認められる。

イ 本件訴訟の内容,訴訟経過,認容額等本件に顕れた諸般の事情を考慮すると,被告の不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用等相当の損害額を15万円と認めるのが相当である。

10 結論

 以上によれば,原告の請求は,本件実用新案権1の請求項2に基づき,被告製品(2)の輸入,譲渡等の差止め並びに被告製品(2)及び金型の廃棄,並びに不法行為による損害金78万4524円及びこれに対する不法行為後である平成19年6月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。

 仮執行の宣言は,相当でないので,付さないこととする。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。