●平成19(行ケ)10418審決取消請求事件 「騒音の発生しない側溝」

Nbenrishi2008-04-01

 本日は、『平成19(行ケ)10418 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「騒音の発生しない側溝」平成20年03月27日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080328144509.pdf)について取り上げます。


 本件は、無効審判の再審の審決却下の取消しを求めた訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、訂正審判請求の係属中に当該特許を無効にする審決が確定した場合には,特許法123条1項7号に該当する場合を除き,特許権は初めから存在しなかったものとみなされ(特許法125条),願書に添付した明細書又は図面を訂正できる余地はなく,訂正審判の請求はその目的を失い,不適法となる、ことを判示した点で、参考になる事案かと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 三村量一、裁判官 嶋末和秀、裁判官 上田洋幸)は、


『 訂正審判請求の係属中に,当該特許を無効にする審決が確定した場合には,特許法123条1項7号に該当する場合を除き,特許権は初めから存在しなかったものとみなされ(特許法125条),もはや願書に添付した明細書又は図面を訂正する余地はなく,訂正審判の請求はその目的を失い,不適法となる(特許法が126条において,特許が無効審決により無効とされた後は,訂正審判を請求することはできない旨を規定しているのは,この趣旨である。)。


 したがって,訂正審判の請求について,請求が成り立たない旨の審決があり,これに対して特許権者が提起した取消訴訟の係属中に,当該特許を無効にする審決が確定した場合には,特許権者は,当該取消訴訟において勝訴判決を得たとしても訂正審判の請求が認容されることはありえず,訂正審判の請求が成り立たないとした審決の取消しを求めるにつき, 法律上の利益を有しないこととなる(最高裁昭和59年4月24日第3小法廷判決・民集38巻6号653頁参照)。


 この理は,訂正審判の請求が成り立たないとした審決がすでに確定している場合に,その取消しを求める再審の請求があった場合においても同様に妥当するというべきである。


 これを本件について見るに,前記第2,1のとおり,特許法123条1項2号に該当するとして本件特許を無効にすべき旨の別件無効審判の審決が,平成16年4月22日に確定したことに伴い,本件特許権は,特許法125条本文により,初めから存在しなかったものとみなされるから,本件特許の願書に添付した明細書を訂正することを求める審判請求を成り立たないとした原審決について,別件無効審判の審決の確定により本件特許が無効にされた後に,その取消しを求めて請求された本件再審請求が,その利益を欠くものとして不適法であることは,明らかである。


 したがって,本件再審請求を不適法として却下した本件審決は,結論において相当である。


 なお,本件再審に係る再審請求書(甲38)の「3 請求の趣旨」の欄には,「特許第2514918号訂正2002−39132号審判事件(平成16年3月8日付)についてなされた審決を取消す。」との記載に加え,「本件審判の請求は成り立たない。特許第2514918号は登録すべきものである。」との記載があることから,これをどのように解すべきかが問題となり得る 。


 しかし,上記再審請求書の「1 再審事件」の表示の欄には,「特許第2514918号訂正2002−39132号事件(二回目)の確定審決に対する再審請求事件 」との記載があり,本件再審の対象が原訂正審判事件における原審決であることは一義的に明確である 。そして,原訂正審判事件の請求の趣旨は ,「特許第2514918号の明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを認める。との審決を求める。」というものであり(乙3の1,乙3の5)原審決の結論は,「本件審判の請求は成り立たない。」というものであるから,上記再審請求書の「3 請求の趣旨」の欄における「本件審判の請求は成り立たない。特許第2514918号は,登録すべきものである。」との記載は,余事記載と解するほかはなく,本件再審における請求の趣旨の記載とは認められない。


 以上によれば,原告の再審請求を不適法として却下した本件審決は,結論において相当であるから,原告の請求は理由がない。


 よって,主文のとおり判決する。  』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。


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●『特許生物寄託センターの体制変更について』http://www.aist.go.jp/aist_j/announce/au2008/au0401_2.html
●『松下が米トロール企業とプリンタ技術で特許ライセンス契約を締結(アカシア)』http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=3143
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