●平成18(ネ)10072肖像権に基づく使用許諾権不存在確認請求控訴事件

 本日は、『平成18(ネ)10072 肖像権に基づく使用許諾権不存在確認請求控訴事件 その他 民事訴訟 平成20年02月25日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080303104615.pdf)について取り上げます。


 本件は、控訴人であるプロ野球選手が球団に対し,プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードについて、各控訴人の氏名,肖像を第三者に対し使用許諾する権限を有しないことを確認し棄却された第1審の取消しを求めた控訴審で、棄却された事案です。


 本日は、まず、球団と選手との間で入団の際に結ぶ統一契約書に基づく判断について取り上げます。
 

 つまり、知財高裁は(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 今井弘晃、裁判官 田中孝一)は、


『1 当裁判所も,控訴人らの被控訴人らに対する本訴請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,以下のとおり付加訂正するほか原判決の記載を引用する。


2 本件における事実関係

 ・・・省略・・・

3 本件契約条項の解釈について

(1) 本件訴訟の対象は,本件記録によれば,一審被告である各球団が一審原告である各選手との間で,「プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードについて球団が選手の氏名及び肖像の使用許諾をする権限を有しないこと」の確認を求める訴訟であるところ,その消極的確認訴訟としての適否はともかく,本件記録によれば,一審原告たる各選手が各球団に最初に入団しその後毎年更新してきた各選手契約のうち平成17年12月から平成18年1月にかけて更新された平成18年度の各選手契約16条(その内容は,各選手・各球団・各年度とも同じであり,かつ統一契約書16条とも同じ)に基づく契約上の義務として,球団が上記使用許諾権限を有しないことの確認を求めるものと解される。


 そして,本件のように契約書が作成された場合の具体的契約条項の解釈に当たっては,最も重視されるべきはその契約文言であり,そのほか,そのような契約条項が作成されるに至った背景事情,契約締結後における契約当事者の行動等を総合的に判断して,その文言の正確な意味を判断すべきものである。


 また,人は,生命・身体・名誉のほか,承諾なしに自らの氏名や肖像を撮影されたり使用されたりしない人格的利益ないし人格権を固有に有すると解されるが,氏名や肖像については,自己と第三者との契約により,自己の氏名や肖像を広告宣伝に利用することを許諾することにより対価を得る権利(いわゆるパブリシティ権。以下「肖像権」ということがある。)として処分することも許されると解される。


(2) そこで,以上の見地に立って,本件契約条項の意味について判断する。


ア 各選手・各球団・各年度に共通の本件契約条項は,昭和26年に制定された統一契約書第l6条と同じく,前記のとおり,「第16条(写真と出演)球団が指示する場合,選手は写真,映画,テレビジョンに撮影されることを承諾する。なお,選手はこのような写真出演等にかんする肖像権,著作権等のすべてが球団に属し,また球団が宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても,異議を申し立てないことを承認する。※(加入)(1項)なおこれによって球団が金銭の利益を受けるとき,選手は適当な分配金を受けることができる。※(2項)さらに選手は球団の承諾なく,公衆の面前に出演し,ラジオ,テレビジョンのプログラムに参加し,写真の撮影を認め,新聞雑誌の記事を書き,これを後援し,また商品の広告に関与しないことを承諾する。※(3項)」(ただし,(1項)(2項)(3項)は説明の便のため付したもの)というものである。


イ また前記2(6),(7)認定のとおり,統一契約書が初めて作成された昭和26年当時の本件契約条項に相当する規定は,米国メジャーリーグの大リーグ契約条項を参考にして起草されたものであった。なお,当時,我が国においては,「パブリシティ」(選手の氏名及び肖像が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利)という概念及びその用語になじみがなく,大リーグ契約条項を参考に本件契約条項に相当する規定を起草するに際し,英語の「publicity purposes」を「宣伝目的」と翻訳したものである。


 そして,前記2(5)認定のとおり,統一契約書が制定される以前から,球団ないし日本野球連盟が他社に所属選手の氏名及び肖像を商品に使用すること(商業的使用ないし商品化型使用)を許諾することが行われており,本件契約条項に相当する当初の規定も,かかる実務慣行のあることを前提にして起草されたものである。


 したがって,統一契約書が制定された昭和26年当時,選手の氏名及び肖像の利用の方法について,専ら宣伝のために用いる方法と,商品に付して顧客吸引に利用する方法とを明確に峻別されていたとは考え難く,「宣伝目的」から選手の氏名及び肖像の商業的使用ないし商品化型使用の目的を除外したとする事情を認めることはできない。


 また前記2(8)認定のとおり,各球団においては,本件契約条項に基づいて,各球団が所属選手の氏名及び肖像の使用を第三者に許諾し得るとの理解の下に,長期間にわたり,野球ゲームソフト及び野球カードを始めとする種々の商品につき,所属選手の氏名及び肖像の使用許諾を行ってきたものである。このように,野球ゲームソフト及び野球カードについては,長きにわたり選手において自らの氏名及び肖像が使用されることを明示又は黙示に許容してきたのであり,同時に,これらの商品は消費者の定番商品として長らく親しまれ,プロ野球知名度の向上に役立ってきたものである。


 そして,前記2(10)(11)認定のとおり,各球団は,許諾先から受領した使用料の全部又は一部を氏名及び肖像の使用がされた選手に対して分配してきたが,選手会ないし選手らのうちの一部の者が各球団による氏名及び肖像の管理について異論を唱えるようになるまでは,選手側から明示的な異議はなかったものである。


 このような事情からして,本件契約条項1項に「球団が宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても」とあって利用の態様に限定が付されていないことにもかんがみると,同項にいう「宣伝目的」は広く球団ないしプロ野球知名度の向上に資する目的をいい,「宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても」とは,球団が自己ないしプロ野球知名度の向上に資する目的でする利用行為を意味するものと解される。


 そして,選手の氏名及び肖像の商業的使用ないし商品化型使用は,球団ないしプロ野球知名度の向上に役立ち,顧客吸引と同時に広告宣伝としての効果を発揮している側面があるから,選手の氏名及び肖像の商業的使用ないし商品化型使用も,本件契約条項の解釈として「宣伝目的」に含まれるというべきである。


 のみならず,本件契約条項が選手の肖像の利用に関する,球団と所属選手との間に存する唯一の定めであり,前記認定の統一契約書制定前に販売された玩具の例をみても明らかなように,選手の肖像を広告宣伝に利用する場合でも,販売する商品に商業化目的で利用する場合でも,肖像に当該選手の氏名を付して利用する形態が多く存在することにかんがみると,本件契約条項1項の「肖像権,著作権等」のうちには,氏名を利用する権利も含まれると解すべきである。


ウ 以上によれば,本件契約条項により,商業的使用及び商品化型使用の場合を含め,選手が球団に対し,その氏名及び肖像の使用を,プロ野球選手としての行動に関し(したがって,純然たる私人としての行動は含まれない),独占的に許諾したものと解するのが相当である(なお,上記のとおり純然たる私人としての行動についての権利は選手個人に留保されているから,選手から球団に上記権利が譲渡されたとまで解することはできない)。


(3) 控訴人らの主張に対する判断

ア 控訴人らは,本件訴訟の対象とする平成17年12月から平成18年1月にかけて更新された選手契約について,控訴人を含む選手らは,平成12年以降,様々な形で統一契約書に根拠を有するとする球団の肖像権管理に異議を唱え,またその態度を明示しているにもかかわらず,こうした選手の内心的効果意思を適切に認定,考慮せずに判断した原判決は誤りであると主張する。


 しかしながら,裁判所は,判決をするに当たり,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を斟酌して,自由な心証により,事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断できる(民訴法247条,自由心証主義)のみならず,前記のとおり,(i)平成11年当時までの選手会の認識は,ゲームソフト等の商品に関するものも含め,肖像権に関しては,統一契約書に根拠を置くことを前提とし,肖像権使用料の分配を球団と選手でどのような比率で行うかにあったということができること,(ii)その前提として,ゲームソフトに関する氏名・肖像等の使用許諾の実務が,昭和63年の株式会社バップが各球団から受けた使用許諾後も,もじり名(「もじる」とは風刺や滑稽化などのためにもとの文句を言いかえること−広辞苑)を使用するなどしていた状況について改善がみられなかったところ,専ら野球機構ないしその委任を受けた株式会社バップ,株式会社ピービーエスらにおいて,ゲームソフトメーカー等に指導ないし働きかけをする形で徐々に使用許諾契約を締結し,ゲームソフトメーカー等から肖像権等使用料の収入が得られるようになったこと,(iii)選手ないし選手会において,これらゲームソフト等に関し,使用許諾契約の締結を求めるよう働きかけたことを認めるに足りる証拠はないこと(かえって,被控訴人巨人軍の元選手である(Rは,「ミヤモモ」などともじった名前がゲームソフトで使用されているのは知っていたが,「一種のシャレ」であり球団が適切に対処してくれると思い問題にしなかったとしている〔乙93〕),(iv)選手らはその後も分配金を受領してきており,損害賠償金の一部としてこれを受領すると表明した後もこの点に何ら変わりはないこと,等の事情もあり,これらによれば,選手らの上記異議についても,それまで選手(ないし選手会)と球団(ないし野球機構)とが前提としてきた本件契約条項についての解釈について,これを自己に有利な解釈としたいとの一方的な表明にすぎないということができ,これにより直ちに本件契約条項の解釈が控訴人らの主張する内容で締結されたとするのには飛躍があるというほかない。


 控訴人らの上記主張は採用することができない。


イ また控訴人らは,それぞれの球団との関係で,商品化目的での選手の肖像・氏名の使用については,本件契約条項に含まれない旨を明らかにして選手契約を締結している,また各球団から本件契約条項に基づき肖像権の管理していることの説明を受けたこともなく,共通の認識を欠くとも主張する。


 このうち,控訴人らについて,本件契約条項に商品化目的での肖像等の使用が含まれないとの意思を明示したとする点についても,前記認定のとおりであって採用することができないほか,控訴人らが,球団から本件契約条項により選手の肖像権等についての管理が本件契約条項によるとの説明を受けていないとする点についても,前記認定のとおり,統一契約書様式に基づく選手契約の内容は,野球選手としての活動の根本を定めたものであって,そこに規定された内容について,具体的な説明を受けていないとの理由だけで契約の効力ないしそれまで当事者間で前提とされてきた契約解釈を否定するには飛躍があるというべきである。


 控訴人らの上記主張は採用することができない。


ウ また控訴人らは,本件契約条項の文言によれば,商品化使用は含まれず,氏名についても明示されていないから含まれないとするが,これについては既に前記(2)において判断したとおりである。


エ 加えて控訴人らは,本件契約条項の「球団が指示する場合」については具体的な指示を要するところ,野球カード,ゲームソフトについての肖像等の使用についてはこれら具体的な指示を欠くから該当しないと主張する。


 しかし,既に検討したとおり,本件契約条項には「球団が指示する場合,選手は写真,映画,テレビジョンに撮影されることを承諾する。」とされており,球団の指示は「写真,映画,テレビジョン撮影」に必要とされるものである。そして,野球選手は野球の試合を行うことを活動の本旨としており(統一契約書様式第4条参照),そのテレビジョン撮影がされるのは当然の前提となっているところ,そこで撮影された映像は当然に「球団が指示する場合」に含まれるというべきである。また写真についても,上記で認定のとおり,球団の指示により撮影されているものと認められるから,控訴人らの上記主張は採用することができない。


オ また控訴人らは,米国の大リーグ契約条項においては「宣伝目的」について「商品化目的」は含まないとする解釈が確立していると当審においても主張し,当審において米国大リーグの選手会の商務・ライセンス部門の責任者(Z))の陳述書(甲94)を提出する。


 しかし,大リーグ契約条項には「そのような写真に関するすべての権利」と記載され,本件契約条項と条文の規定が異なっており,しかも本件契約条項を定めるに当たって大リーグ契約条項を参考にしつつこれと異なる規定となっているところからすれば,米国の状況が本件契約条項の解釈にそのまま当てはまるということはできない。


 控訴人らの上記主張は採用することができない。


 また,Jリーグ規約についても,条文の規定,背景事情等が異なるものであり,本件契約条項の解釈にそのまま当てはめることもできない。


カ また控訴人らは,当審において韓国における「野球選手契約書契約書(監督,コーチ) 外国人選手契約書」を提出するところ,そこには前記のとおり,「第16条〔写真と出演〕球団が指示する場合,選手は写真,映画,TVに撮影されることを承諾する。またこのような写真出演などに関する肖像権,著作権などのすべてが球団に属し,球団が宣伝目的などいかなる方法で利用しても異議を申し立てないことを承認する。なおこれによって球団が金銭上の利益を受ける場合,選手は適切な分配金を受け取ることができる。また選手は球団の承諾なく,公衆の面前に出演し,ラジオ,TVプログラムに参加し,写真撮影を許可し,新聞,雑誌の記事を書き,これを後援し,また商品の広告に関与しないことを承諾する。」との規定がある(甲119)。そして控訴人らは,これと原審提出の甲36の韓国判決(ソウル中央地方裁判所平成18年〔2006年〕4月19日判決)をあわせると,本件契約条項と全く同じ文言である韓国統一契約書16条について,「宣伝目的」との文言に商品化目的が含まれないことが明らかであり,そうすると本件契約条項の解釈に関しても,これと同じく商品化目的は入らないと解釈すべきとも主張する。


 しかし,韓国における上記判決は韓国における当事者双方が提出した主張立証に基づき個別具体的になされた判断であるのみならず,上記韓国での当該選手契約に関する制定前後の具体的状況や韓国における具体的運用状況,選手らと球団との関係等は本件訴訟において主張立証がなされていないから,上記韓国での判決が控訴人らの主張を直接に根拠付けることにならないというべきである。


 控訴人らは,JOCにおける近時の取扱いや欧州プロサッカー選手契約においても選手が自ら肖像権を行使できることとされていることなどを挙げて,スポーツ選手において肖像権は選手個人のものであるという解釈は世界的な傾向であり,本件契約条項の解釈もそれに沿うべきであるとも主張するが,これらはいずれも契約条項の内容や背景事情等を異にするものであり,本件契約条項の解釈に当たりこれらを参酌すべきとする根拠とはならないというべきである。控訴人らの主張は採用することができない。


キ また控訴人らは,昭和26年当時に選手の肖像等を使用した商品は存在したが,球団は肖像権使用料を徴収しておらず,何ら肖像権管理を行っていなかった可能性があるとして,それに沿う証拠として甲121を提出する。


 なるほど甲121(「常識を破壊!これが正しいスポーツカードの集め方」報知新聞社平成10年3月20日初版発行)には,1950年代後半から,それまでイラスト中心であったメンコにつき,(T選手の入団の影響もあって,写真メンコがブームとなったが,1960年代半ば(昭和40年頃)から急速に発行量が少なくなった旨が記載され,その理由として「写真メンコを発行する際に肖像権の承認を球団から取る必要が生じたためではないかといわれています。それまでは雑誌などから写真をコピーして着色して商品化したものも多数発行されていたのですが,承認料を支払えないメーカーは次々に市場から撤退していったのでしょう。」と記載されている。


 しかし,上記文献は写真メンコの盛衰について述べた文献にすぎず,球団による許諾について述べたものではなく,これにより球団による肖像権管理ないし使用許諾料徴収が昭和40年ころから初めて行われたものと認めることはできない。


ク (ア) また控訴人らは,早稲田大学K)教授の意見書を証拠として提出するところ,同意見書においては,「パブリシティ権の本質の理解については,プライバシー権パブリシティ権を人格権の中で一体的に考える立場と,人格権に属するプライバシー権と対立的に名称・肖像等の持つ顧客吸引力という財産的価値に着目してパブリシティを独立的に理解する立場がある」とし,「プライバシー権パブリシティ権は等しく人の人格権から派生するものであって人格権の2つの側面として不即不離の関係にあり,後者は人格権の商品化から生じた人格権の持つ財産的利益の排他的支配権と解するのが相当である」としたうえで,「独占的使用権を他者に与えるとしても,本人の支配がまったく失われるような形で商業的使用・商品化型使用を含めて包括的に氏名・肖像の有する経済的利益の排他的支配権であるパブリシティ権の独占的使用を他者へ許諾する契約(契約条項)は,原則的に認められない」とし,「このような包括的な独占的使用権の許諾を認める場合には,派生権であるパブリシティ権の実現(使用)の場で,母権である本人の人格権と派生権であるパブリシティ権が相互対立する現象が生じることになる」とする。


 そして,本件契約条項の内容とするパブリシティ権の球団への使用許諾を認めるとしてもその範囲は制限的に解釈されるべきであり,選手が自らの意思で自己の人格的アイデンティティを商業的利用に供することを制限・禁止する内容を含まないと解する」とする。また本件契約条項を含む選手契約についても約款による契約であって,制限的に解釈されるべきで,本件契約条項をパブリシティ権の本質と相容れない,また約款作成者に有利な拡大解釈はとるべきではないとする(甲72,意見書)。


 これに対し被控訴人らは,慶應義塾大学のU]教授の「鑑定書」と題する書面を提出し,これによれば,本件契約条項の「すべてが球団に属し」との文言からすれば肖像等に関する使用許諾よりも譲渡になじみやすく,その内容も「写真・撮影フィルムに具体化されたところの肖像,容姿についての経済的利用に関する処分権限の全面的な委譲と,氏名に関する商標的・装飾的利用権限の委譲にすぎず」,このようなパブリシティの一部の譲渡については認めて差し支えなく,また解釈として独占許諾と解することも可能である,選手による相手方選択の可能性の制限,肖像等の利用に係る規定の変更を求める余地が少ないことからすれば附合契約的な要素もあるが,(i)球団が管理し分配金を選手に支払うというシステムは合理的であり,(ii)上記のとおり本件契約条項の対象が限定され,(iii)球団の管理にも長い歴史・実績があることから,本件契約条項は十分に合理的かつ有効であるとする(乙104)。


 さらに被控訴人らは,専修大学V]教授の「鑑定意見書」と題する書面を提出し,これによれば,肖像や氏名の使用を決定することができるのはその本人のみであり,これは人格権から導きだされるところ,その商業的利用に関しては,その使用が同意された後は,本人の人格権を不当に害するような使用態様がない限り,人格権の法理に服することなく,人格権からは独立した財産的権利として,譲渡等,財産法の枠内で扱われるから,本件契約条項により球団は選手の氏名,肖像に関する権利の独占的な使用許諾を受けている,また金銭の支払いを受けていること等の現実の運用にも照らし条項が無効ともいえない,宣伝目的には,選手の肖像等が野球カード等に使用されてもこれが公衆の関心をつなぎ止める機能を果たすことに変わりはないから,商品化型利用も含まれるとする(乙127)。


(イ) しかし,U]教授及びV]教授の上記意見書は当裁判所の前記判断と矛盾するものでなく,また控訴人らの提出するT]教授の意見書も一般論としては同様であって,本件契約条項の解釈に関する前記認定を左右するものではない。 』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。