●平成19(ネ)2261不正競争行為差止等請求控訴事件「ごはんや めしや

  本日は、『平成19(ネ)2261 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟「ごはんや めしや」平成19年12月04日 大阪高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071205101515.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争防止法2条1項1,2号にいう他人の営業表示と類似する不正競争行為差止等請求の控訴事件であり、控訴人の請求が棄却された事案です。


  本件では、不正競争防止法2条1項1,2号における商品等表示における類似の判断が参考になるかと思います。


  つまり、大阪高裁(第8民事部 裁判長裁判官 若林諒)は、

争点1(被控訴人表示は控訴人表示に類似するか)について

 当裁判所も被控訴人表示が控訴人表示に類似するとは認められず,被控訴人による被控訴人表示の使用が不競法2条1項2号又は1号の不正競争に当たらないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」第4・1記載のとおりであるからこれを引用する。


 控訴人は,控訴人・被控訴人表示は「食堂」の文字を共に有し,表示が白地の上に表記されている点で共通するし,また,控訴人表示の「ごはんや」の文字と被控訴人表示の「めしや」の文字は同じ意味であり,両表示は類似すると主張する。


  しかるに,ある営業表示が不正競争防止法2条1項1,2号にいう他人の営業表示と類似のものか否かを判断するに当たっては,取引の実情のもとにおいて,取引者,需要者が,両者の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのを相当とするところ(最高裁昭和58年10月7日第2小法廷判決・民集37巻8号1082頁参照),上記引用に係る原判決の認定・説示のとおり,控訴人表示は「ごはんやまいどおおきに(しょくどう)○○しょくどう」との称呼を生じ,そのうち控訴人店舗のロゴとして使用・表示されている「まいどおおきに食堂」の部分が控訴人の営業表示としての高い識別性を有し,控訴人表示は一連に称呼するにしては冗長であり前半の「まいどおおきに(しょくどう)」との称呼も生じさせるものであること,被控訴人表示は「めしやしょくどう」との称呼を生じさせるところ,被控訴人の複数の「めしや」ブランドの店舗が相当数存在することから「めしや」との称呼も生じさせるものであること,双方の表示に共通する「食堂」は,役務提供の場所,役務提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するものにすぎず,特定の営業主体を表示する識別標識とはいえないこと等からすれば,控訴人表示については「まいどおおきに」,被控訴人表示については「めしや」の部分に営業主体の識別力が存在すると認められ,その相違の程度からすると,「ごはんやまいどおおきに(食堂)○○食堂」ないし「まいどおおきに(食堂)」と,「めしや食堂」ないし「めしや」とは,外観,称呼及び観念が類似するとは認められず,その相違の程度は,双方の表示が「食堂」との文字を有する点,白地の上に表記されている点,「ごはんや」と「めしや」の表記の意味するところが同じである点などが共通することをもっても,とりわけ外観,称呼においてなお大きく,被控訴人表示は控訴人表示に類似するとは認められない。


 また,控訴人は,「ザ」と一体になった「めしや」に被控訴人の営業の識別力が認められるにしても,「めしや」単体では識別力はないと主張するが,前記引用にかかる原判決の認定・説示のとおり,被控訴人は「ザめしや」の店舗の他に,「ザめしや24」,「めしやっこ」,「めしや食堂」の店舗を相当数経営しているものであり,「めしや」との表示に被控訴人の営業の識別力がないといえるものではないし,被控訴人表示(めしや食堂)が控訴人表示に類似すると認められないことは上記のとおりであって,かかる主張は同認定を左右しない。  』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。


 なお、本判決文中で引用している最高裁判決は、本日記の1/31(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20070131)でも取り上げた『昭和57(オ)658 商号使用差止等 不正競争 民事訴訟「ウーマン・パワー」昭和58年10月07日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/17D16AF173CCBADB49256A8500311F87.pdf)の日本ウーマンパワー最高裁事件です。


追伸1;<気になった記事>

●『日米欧など38カ国、模倣品・海賊版防止条約で初会合』http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/index.cfm?i=2007120501909b3
●『松下とサムスン和解 プラズマ特許訴訟で』http://www2.kanaloco.jp/kyodo/news/20071205010001881.html
●『プラズマパネル特許紛争、松下・サムスン和解』http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20071205ke01.htm
●『米Appleと米AT&TiPhoneの特許侵害で3億6,000万ドルの訴訟を起こされる』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000098-myc-sci
●『ソウル半導体日亜化学を米国際貿易委に提訴』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000022-yonh-kr
●『特技懇 247号(最新号)』http://www.tokugikon.jp/gikonshi/
●『z4 Technologies,アクティベーション特許の侵害で再度Microsoftを提訴』http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071204/288663/?ST=win