●平成16(ワ)7663 商標権侵害差止等請求事件 商標権「LOVE ラブ」

  本日は、『平成16(ワ)7663 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟「LOVE ラブ」平成19年11月05日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071106102926.pdf)について取り上げます。


 本件は、原告が被告に対し商標の差止めおよび損害賠償を求め、原告登録商標と被告使用商標とが非類似と判断され、その請求が棄却された事案です。


 本件では、原告登録商標と被告使用商標との非類似の判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田知司)は、


1 争点(1)(類似性)について


(1) 別紙原告商標権目録のとおり,本件原告商標1はゴシック体で「LOVE」と記載したもの,本件原告商標2はゴシック体で「ラブ」と記載したもの,本件原告商標3は,上段に「LOVE」を筆記体で記載し,下段に「ラブ」と記載したものである。その外観は,それぞれ上記のとおりであり,いずれも「ラブ」の称呼と「愛」の観念を生ずるものである。


(2) 被告標章は,「Love」の文字を筆記体で大きく横書きし,その下部に「passport」の文字を筆記体で上部の文字よりやや小さく表してなるものであるが,実際の被告香水の容器やパッケージ等では,被告標章の右上方に,やや大きさの異なるピンク又は赤色で彩色された二つのハート状図形が配されている(被告使用標章。甲4の1及び2,乙2)。「Love」と「passport」の両文字は,二段に表され,大きさも異なるが,「passport」の文字が無視されるほど大きさが異なるわけではなく,「Love」と「passport」は同一の書体から成るから,被告標章は,一見してこれらの両文字より成ると把握することができる。


 したがって,被告標章の外観は,「Love」と「passport」の両文字(実際の使用態様においては更に二つのハート状図形)から成るものである。また,被告標章からは,「ラブパスポート」の称呼を生ずる。さらに,「Love」は「愛」,「passport」は「旅券」を意味することは,我が国においても広く知られているから,被告標章から,「愛旅券」の観念が生ずるということができる。


(3) 本件原告商標と被告標章を対比すると,外観において「LOVE」が含まれている点や「ラブ」を含む称呼と「愛」を含む観念を生ずる点は共通する。


 しかし,被告標章は,上記(2)のとおり,一見して「Love」と「passport」の両文字より成ると把握することができるのであって,被告標章の「Love」の書体は本件原告商標1及び2の「Love」の書体と明らかに異なることや,被告標章の実際の使用態様においては二つのハート状図形が存することをも併せ考えると,本件原告商標と被告標章は,外観において類似するということはできない。


 また,称呼において,本件原告商標と被告標章は,「ラブ」と「ラブパスポート」という違いがあるし,観念においても,被告標章には,本件原告商標にはない「旅券」という観念が生ずるから,本件原告商標と被告標章は,称呼及び観念において類似するということもできない。


(4) これに対し原告は,被告標章においては,「Love」の文字が「passport」よりも著しく大きいことから,「Love」が要部として需要者に認識されると主張する。


 しかし,被告標章においては,「Love」の文字が「passport」よりも大きいものの,「passport」の文字が無視されるほど大きさが異なるわけではない。被告標章が,ひとまとまりの「Love passport」として認識されると認められることは前記認定のとおりであり,原告の主張は採用することができない。


・・・省略・・・


(7) 以上を総合すると,本件原告商標と被告標章とは類似しないということができるから,被告による被告標章の使用は本件原告商標権を侵害するとはいえない。


2 まとめ

以上によれば,原告の本件請求はいずれも理由がないから,主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。



追伸1;<気になった記事>

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●『リサイクルカートリッジ訴訟、エプソンは敗訴』http://www.rbbtoday.com/news/20071113/46435.html
●『特許生物寄託業務に関する住民説明会について』http://www.aist.go.jp/aist_j/announce/au2007/au1113_2/au1113_2.html
●『船井電機の訴えでITCがデジタルTV関連特許の調査を開始(米国際貿易委員会)』http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=2178
●『ケンウッドの勝訴確定、中国の模倣品裁判』http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q4/551519/
●『ノースイースタン大学とジャーグ、特許侵害でグーグルを提訴』http://www.computerworld.jp/topics/ma/86270.html
●『マイクロソフトIE 7のActiveX警告ポップアップを廃止の予定』http://www.computerworld.jp/topics/ma/86289.html
●『日米欧の特許庁、第25回年次三庁会議で覚書を締結(USPTO)』http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=2174