●平成19(ネ)10035 不正競争「ゴムシートの連続製造技術等のノウハウ

  本日は、『平成19(ネ)10035 損害賠償請求控訴事件 不正競争 民事訴訟「ゴムシートの連続製造技術等のノウハウ」平成19年08月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070831110833.pdf)について取上げます。


 本件では、「ゴムシートの連続製造技術等のノウハウ」に関し、控訴人が被控訴人に対し,被控訴人が控訴人のノウハウを使用し,それが不正競争防止法2条1項4号所定の不正競争行為又は不法行為に当たるとして,損害賠償を請求していた事件ですが、棄却された事案です。


 本件では、本件ノウハウに具体性がなく、不正競争防止法2条1項4号の不正競争防止法上の「営業秘密」に該当しないとした判断が参考になります


 つまり、知財高裁(第4部 田中信義 裁判長)は、

『(1) 争点(1)(本件ノウハウの侵害の有無)について

 関係証拠を精査しても,本件ノウハウの具体的内容が明らかでないことは,上記(上記1(2)〜(4)による加除訂正後の原判決8頁11行〜9頁16行)のとおりである。


 控訴人は,本件ノウハウの内容は,「ゴムシートの連続製造技術」,「量産性とシート性能のための成分組成」,「ゴムボートのホットプレス用ポリエステルとの接着性」,「ゴムシートの製造規格」等で,十分に具体的であるとか,ノウハウは,特許技術と異なり,一種の技術秘訣であるから,文書で明確に明文化できるものではないなどと主張するが,たとえ,ノウハウが一種の技術秘訣であろうと,それが,不正競争防止法2条6項所定の「営業秘密」であり,その侵害が同条1項4号に当たるといい得るためには,法的保護に値するか否かを具体的に認定できる程度に「営業秘密」の内容が具体的であることを要するものというべきであり,逆に,そのような具体性を主張立証することのできないものは,ノウハウと呼ぶか否かは格別,不正競争防止法上の「営業秘密」に当たるものとは到底認めることができないし,この理は不法行為の成否の判断においても同様というべきである。


 そして,上記「ゴムシートの連続製造技術」,「量産性とシート性能のための成分組成」,「ゴムボートのホットプレス用ポリエステルとの接着性」,「ゴムシートの製造規格」等というだけでは,かかる具体性を具備するに至っていないことは極めて明白である。


 したがって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。