●平成12(ワ)11470 特許権 民事訴訟「腹部揺動器具事件」

  ここのところ、毎日、本当に暑いですね!!

 さて、本日は、『平成12(ワ)11470 特許権 民事訴訟「腹部揺動器具事件」平成13年10月04日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/16566E6338ED232049256B2F0001975C.pdf)について取上げます。


 本件は、均等侵害の成否について判断した事案で、均等の第1要件の本質的部分の解釈について示している点で、参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第21民事部 小松 一雄 裁判長)は、


 『2 争点(3)(構成要件?部分についての均等の成否)について検討する。

(1) 均等が成立するためには、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品と異なる部分が特許発明の本質的部分ではないことを要するが、ここにいう特許発明の本質的部分とは、特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで、当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付け、当該特許発明特有の作用効果を生じさせる技術的思想の中核をなす特徴的な部分をいうと解される。


(2) 前記1(1)アのとおり、本件発明の技術的範囲は、構成要件障ミに示された足載台の振幅及び往復速度の数値限定により相当程度厳格に画されているものと解され、前記1(1)イ(ア)ないし(ウ)のとおり、本件発明の出願経過、公知文献の記載を考慮すると、本件発明においては、少なくとも、構成要件?に示された足載台の振幅及び往復速度の数値限定は、本件発明の進歩性を肯定するための一要素となったものと認められる。


 そうすると、本件発明は、構成要件障ミにおいて足載台の振幅及び往復速度を数値限定したことにより、特有の作用効果を発揮するために最適な腹部揺動器具を作成するための、従来技術にない解決手段を明らかにしたものと認められる。

 したがって、少なくとも、構成要件障ミにおいて示された足載台の振幅及び往復速度の数値限定は、本件発明特有の解決手段を基礎付け、特有の作用効果を生じさせる技術的思想の中核をなす特徴的部分に当たり、本件発明の本質的部分に当たると解される。


 前記1(1)ないし(3)のとおり、構成Dの「40mmの振幅で、高速で毎分72回、中速で毎分62回、低速で毎分44回の速度で左右に往復動するものであり」という部分は、構成要件障ミ(「10〜30mm程度の振幅で、毎分100〜200回程度の速度で左右に往復動するものであり、」)の数値限定に当てはまらず、被告製品は、特許発明の本質的部分において本件発明と異なると解される。


 したがって、被告製品は、構成要件障ミを、構成Dの「40mmの振幅で、高速で毎分72回、中速で毎分62回、低速で毎分44回の速度で左右に往復動するものであり」という部分に置換した点において、本件発明と均等であるとはいえない。


3 以上によれば、被告製品は本件発明の技術的範囲に属さない。

 よって、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。 』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。