●平成21(ネ)3051 意匠権侵害差止等請求控訴事件 民事訴訟「長靴」

 本日は、『平成21(ネ)3051 意匠権侵害差止等請求控訴事件 意匠権 民事訴訟「長靴」平成22年05月14日 大阪高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100617110541.pdf)について取り上げます。


 本件は、意匠権侵害差止等請求控訴事件で、本件控訴が棄却された事案です。


 本件では、一審と同様に、意匠権侵害の場面でも禁反言の法理等により非侵害と判断された点が参考になるかと思います。


 つまり、大阪高裁(第8民事部 裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 久保田浩史、裁判官 平井健一郎)は、

『1 当裁判所も,被控訴人意匠と本件意匠とは類似しないと認め,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」中「第4 当裁判所の判断」の1に記載のとおりである。


2 控訴人の当審における補充主張について

 本件意匠は筒部の絞りと絞りの間に上下に長い大小のこぶ状の膨らみが多数形成されているのに対し,被控訴人意匠はこぶ状の膨らみはなく,絞りに伴う自然な縦じわがあるにすぎないとの相違点2が中心となって,被控訴人意匠は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感の相違を本件意匠との間に起こさせている。


 上記事項などを参酌して本件意匠の要部を把握し,被告意匠がその要部における構成態様と共通するか否かを判断することは,意匠法24条2項の趣旨に沿うものである。


 本件意匠の出願経過において,胴部の絞りの段数の相違を強調して類似性を否定していたのに,本件訴訟において,胴部の絞りの段数相違は需要者に与える美感に影響を及ぼさないなどとして出願経過と相反する主張をすることは,禁反言の法理ないし信義則に違反するというべきである。これらの判断は,原判決説示のとおりである。

 控訴人の補充主張は理由がない。


3 以上のとおりであり,本件控訴は理由がないから,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 なお、原審は、昨年の11/6の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20091106)でも取り上げた、●『平成21(ワ)2726 意匠権侵害差止等請求事件 意匠権 民事訴訟「長靴」平成21年11月05日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091106132344.pdf)になります。