●昭和53年に出された知財事件の最高裁判決

 本日は、昭和53年に出された知財事件で、裁判所HP(http://www.courts.go.jp/)に掲載されている最高裁判決2件について、下記の通り、簡単に紹介します。


●『昭和50(オ)324 著作権不存在等確認及び著作権損害賠償 著作権 民事訴訟「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件」昭和53年09月07日 最高裁判所第一小法廷 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121432913285.pdf)

・・・『旧著作権法(明治三二年法律第三九号)の定めるところによれば、著作者は、その著作物を複製する権利を専有し、第三者著作権者に無断でその著作物を複製するときは、偽作者として著作権侵害の責に任じなければならないとされているが、ここにいう著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうと解すべきであるから、既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地はないところ、既存の著作物に接する機会がなく、従つて、その存在、内容を知らなかつた者は、これを知らなかつたことにつき過失があると否とにかかわらず、既存の著作物に依拠した作品を再製するに由ないものであるから、既存の著作物と同一性のある作品を作成しても、これにより著作権侵害の責に任じなければならないものではない。』、等と判示した最高裁判決。


●『昭和49(行ツ)2 特許権 行政訴訟ポリカーボネート事件」分割昭和53年03月28日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314095324.pdf)

 ・・・『旧特許法(大正一〇年法律第九六号。以下「法」という。)の定める特許出願分割の制度の趣旨にかんがみると、法九条一項の規定により原出願から分割された新たな出願が同項の規定により原出願の時においてこれをしたものとみなされるためには、分割された出願にかかる発明につき、原出願の願書に添付した当初の明細書に、右発明の要旨とする技術的事項のすべてが、その発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者においてこれを正確に理解し、かつ、容易に実施することができる程度に、記載されている場合でなければならないと解するのが、相当である。


 右と同趣旨の原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。』、等と判示した最高裁判決。