●特許ニュースの3月12日号について

  3月12日の特許ニュースは、『竹田和彦先生を偲んで』という内容でした。竹田和彦先生とお付き合いのあった数人の方が追悼文を掲載しています。


 竹田和彦先生は、学者という立場からではなく、社内弁理士の立場、実務者の立場から数多い判決例や先生のお考えをその著書に紹介されており、その点、受験生よりは、特許実務家、特に製薬や化学分野の判例には詳しかったので製薬メーカや化学メーカの特許実務家からの支持されているのはないかと思います。


 特に、竹田先生の特許権の効力についての排他権説(特許権を取得したからといって、その特許発明を自由に実施できるわけではない。他人の特許権に抵触しない範囲で実施できるとする説。)は、私も支持しており、この説に賛同する特許実務家は多いのではないでしょうか。


 また、私は、今でも、昔の判例を調べる際に、竹田和彦先生の「特許侵害訴訟の実務」(ダイヤモンド社)を良く読みます。当方の所有している「特許侵害訴訟の実務」は、昭和54年初版で昭和59年3版発行になっています。吉藤幸朔先生の『特許法概説』も判例が多数掲載されており、こちらは弁理士試験の基本書や実務書として著名ですが、竹田和彦先性の「特許侵害訴訟の実務」も昭和50年以前の判例が多数掲載されており、名著でないかと思います。絶版本のようですので、古本屋で見たらぜひとも購入して手元におきたい本であると思います。


 古い判決例は必要がないと言う友もいるますが、古い判決例を知りつつ新しい判決例も習得していったほうが、判決の時代変遷などもわかるとともに、未知の事案にあたった場合の自分の判断基準を増やすことになるのではないかと思います。


 また、確か竹田先生も、この本の中で「判例は生きた教科書である。」等と書かれていたような気がします。


 ぜひとも若い知財部員や弁理士の方には、この本を通じて古い判決例も勉強してほしいと思います。


 3月12日の特許ニュースの最後の竹田和彦氏の主要著書として、「特許の知識」や「特許がわかる12章」等が掲載されていますが、「特許侵害訴訟の実務」が掲載されていなかったので、個人的に「特許侵害訴訟の実務」を追加したいと思います。


 竹田和彦先生のご冥福をお祈り申し上げます。


追伸1;<気になった記事>

●『Microsoftの.NETに特許侵害訴訟』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070423-00000046-zdn_n-sci
●『Microsoftの.NETに特許侵害訴訟』http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/23/news053.html
●『MS、「.NET」テクノロジでVertical Computer Systemsから提訴される』http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20347685,00.htm
●『欧州委員会、欧州特許制度について改革推進を表明』
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/04/23/15509.html
●『Tessera社が特許侵害でMotorola社、QUALCOMM社、Freescale社、ATI社を提訴』http://www.ebjapan.com/content/l_news/2007/04/l_news070423_0201.html
●『USPTO が再審査請求に関する規則改正(最終版)を公表』(JETRO)
http://www.jetro.go.jp/biz/world/n_america/us/ip/news/pdf/070419.pdf
●『プラクティス・リーダーによる米国知財事情 vol.6 米国最高裁判決により“ライセンスを受けながら訴訟を提訴”が可能に』
http://www.ipnext.jp/journal/kaigai/ray.html


追伸2;
  誤ってリンク集を消してしまいました。リンク集を保存していなかったので、少しショックです。多少時間はかかると思いますが、少しずつ記憶をたどりながらリンク集を復活させるつもりです。