●平成24(ワ)7887 特許権侵害差止等請求事件「サイホン式雨水排水装

 本日は、『平成24(ワ)7887 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟「サイホン式雨水排水装置」平成26年2月6日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140218135456.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許権侵害差止等請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、争点1−2(被告製品は本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 松阿彌隆、裁判官 西田昌吾)は、


『2 争点1−2(被告製品は本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について


(1)判断基準

 特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,? 上記部分が特許発明の本質的部分ではなく,? 上記部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,? 上記のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,? 対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,? 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,上記対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属する最高裁判所平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁)。


(2)被告製品が本件優先日における公知技術と同一又は当業者がこれから本件優先日時点において容易に推考できたものでないとはいえないこと


ア 容易推考性の判断基準

 公知技術からの容易推考性を判断するに当たっては,対象製品等において置換されている部分のみについて公知技術からの容易推考性を判断するのではなく,対象製品等そのものが全体として,特許出願時における公知技術から容易に推考できたものかどうかを判断する必要がある。


イ 被告製品の構成


 ・・・省略・・・

 上記記載によれば,被告製品の構成1a2及び2a2の構成は,本件優先日前における「従来の自在ドレン」(公知技術)と同一であり,雨樋においても一般的な構成であったことが認められる。また,本件明細書等の段落【0002】の記載(前記1(1)イ(ア))及び本件優先日前に頒布されたカタログ(乙23,24)によれば,1c及び2cの構成のうち「継手部材の断面積が竪樋の断面積よりも小さい。」という構成並びに1d及び2dの構成も,雨樋一般に見られる一般的で,ありふれた構成であったことが認められる。


(ウ)小括

 以上によれば,被告製品の各構成は,本件優先日において雨樋の技術分野でごく一般的であった構成を単に組み合わせたにすぎないものであり,これらごく一般的で公知の構成を組み合わせることについて何らかの阻害要因等が存在したことを窺わせる主張立証も全くない。


 そうすると,被告製品について,当業者が公知技術から容易に推考できたものではないと認めることはできないから,被告製品について,本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するということはできない。


3 結論

 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求にはいずれも理由がない。


 よって,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。